マリカのソファー・バリ夢日記/吉本ばなな

もともとハードカバーの「マリカの永い夜」を持っていて、「マリカのソファー」っていう題の本が出ていることはなんとなく知っていて、続編?まさかね、と思っていたんだけど、こないだ実家近くの古本屋を久々にのぞいたら文庫版「マリカのソファー」を発見。裏返してみると、作者の意志により大幅に加筆修正、みたいなことが書いてある。設定から全部書き直したらしい。なるほど。安かったのでとりあえず購入、通勤一往復で読みました。


大筋は、精神疾患を抱えたマリカと、マリカの友達「ジュンコ先生」が、ふたりでバリに行く話。


まぁ、別に直さなくても、と思いながら読み始めたけど、確かに作品としてはとっつきやすくなって、完成度が上がっていると思いました。直したかったわけも腑に落ちた。


でも、「ジュンコ先生」って呼び名や、マリカと先生の微妙な距離感、柔らかくて暗い独特の雰囲気は「マリカの永い夜」の設定とタイトルあってこそのものだな、と、思った。単に先に読んだからかもしれないけど。
元医師と元患者、っていうフィクション色の強い設定と、後半の単なる旅行日記(とあえて書きます)「バリ夢日記」との対比がおもしろくて、私は修正前も好きでした。


特筆すべきは原マスミさんによる挿絵。すごくいいです。