室内花見:2011年4月
フライング気味に
-
- -
角の本屋のレジで花瓶をえらぶ指が透けたらふるえるようだ *1
あの木も桜だったんだねと100メートル先には届かない口笛
50円切手を指に貼りつけて君の書く絵のような文字をみる
眼球を右下へ動かすときの頭痛に勝つくらいしかできない
家へ帰れば父とよばれるひとよブラインドを突き抜ける夕焼け *2
埋め合わせをするわけではないけれどこれはあなたに向けたものです
洗濯機をまわす間に大丈夫ですかと口を開く家具たち
コンタクトレンズがオムレツのように貼り付いている昼を呑み込む *3
花屋かと思えばただのビルの入り口過ぎぬれば夕立の降る
こんな日に出会ったのでしたねつつじの蜜と記憶も溶けだすような