短歌

基地にて:2011年12月

なんとか一年、毎月十首、続きました。 ここの短歌のこと、 直接会ったときだったり、手紙だったり、メールだったり、で 思ったこと伝えてくださった皆さん、 本当にうれしかったです。 この場を借りてお礼申し上げます。 - 付箋で手紙交換をする大人たちを…

手紙:2011年11月

もはやこれをやらないと月が始まった気がしない・・・とか言いながら、気付けばもうあと1ヶ月。 - きみのネクタイピンはそうやって光るのですね歩きながら夢見る ジャケットを脱いでダウンコートを羽織り書いた手紙のまちがいさがし *1 横書きの文字が天ま…

じょうろ:2011年10月

机に耳あてて工場の音がするあとすこし目を閉じていていい 玉ねぎがスライムに見えたのはそういえば初めてでした 秋の日 *1 誰の声をきいてあなたは満面の笑みで小雨の橋を渡れり *2 足あとが1、2、3の文字に見え曲がりきれないトラックを待つ このなかに…

セロファン:2011年9月

酸化した椿油の匂いラフォーレハラジュク・マツヤマと唱える *1 照準を定めてどこかのスイッチを切るそんなふうにして生きている 明日のサラダを冷蔵庫に入れ眠るすこしずつひえてゆく世界よ 通勤路で釣りしてるひとの数かぞえとどまる元・少年少女たち *2 …

十年:2011年8月

半月のゴーヤが笑う眼のようでまだひとりでも歩けるしるし シンハーに氷を入れて濡れた手で星占いを触ってはだめ いつか家族だったことがあるのかもしれない赤いヨーヨーを割る あいこしか出せないふたりではどこへも行けないねとあきらめて寝る 五五分ぴっ…

正午:2011年7月

7月もぎりぎりでした。 - 地下へ潜らず屋上へも登らずに地続きの歌うたう正午だ 何日か後に台風がくると聞きぬるい塩水を飲んで眠る この部屋に住むってことはこの部屋で午前中を迎えるってことだ 夏は誰かが呼んだから来るらしい夏が好きそうな声をしてるね…

夏の終わり:2011年6月

ぎりぎり十首。半年つづきましたね。 - コンクリートに横たわるあじさいの色に似た日傘は雨に濡れ 小売りしてません 貼り紙が話しかけてきて片耳外すイヤーフォン ニューヨークへ連れていった雨傘といちめんの曇り空を分け合う 電車で携帯電話のストラップ付…

星のうた:2011年5月

真夜中のような午後七時の街灯纏うおばあさんになりたい 指が赤く染まる理由を考えていたら迷子になった夕方 雨が止むのを待ってるつもりだったドルチェ・ヴィータの小瓶をしまう シャンプー台でする考え事が好き逆回転の夢をみている 平日の昼間の街はわた…

室内花見:2011年4月

フライング気味に - 角の本屋のレジで花瓶をえらぶ指が透けたらふるえるようだ *1 あの木も桜だったんだねと100メートル先には届かない口笛 50円切手を指に貼りつけて君の書く絵のような文字をみる 眼球を右下へ動かすときの頭痛に勝つくらいしかできな…

そらみみ:2011年3月

- ドロップの空き瓶を割り勘で買う二月の終わり鍵盤のおと 喧嘩してないけど仲直りしよう湿気を吸った手紙、深呼吸 首元に足りないものは三日月の熱にあたためられた金属 オリオンと月のあいだを気付かずにゆく飛行機の両腕に光 エレベーターホールから富士…

東京:2011年2月

懲りずに続けています。 暖かかったり寒かったり、しましたね。日付順。 - 届かないだれかに向かう祈りなら擦りきれるまで見守るつもり 十四階から十階へ移り住み梯子をのぼる人を待つ春 さっきまでわたしの一部だったこと忘れたように積もる細胞 *1 伊予柑…

電波塔:2011年1月

ことし始めた新しいことがこれです。日記のような短歌。 下手な鉄砲、、、という話もありますが、 とりあえず古い順にいくつか。 - 日の当たらない部屋に住む花もまだ枯れないうちに遊びにおいで 猫を飼うゆめを叶えてしまうときぼくら少しだけ他人になるの …