夏の終わり:2011年6月


ぎりぎり十首。半年つづきましたね。

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コンクリートに横たわるあじさいの色に似た日傘は雨に濡れ


小売りしてません 貼り紙が話しかけてきて片耳外すイヤーフォン


ニューヨークへ連れていった雨傘といちめんの曇り空を分け合う


電車で携帯電話のストラップ付け替えて なんだってできたと思う


ここじゃないところにもあるパン屋のこと知らないままお使いに来て


消防ホースからあふれる水を見てさくらのような5分前の空


まだ数滴しか染み込んでいないその靴で海辺に立つていたのね


ひとりずつ名前を呼んで手渡すための証書のようなひまわり


ペットボトル傾け交差点を渡る今日会えなかったひとは遠くに


きみにまだ言えないことがあるかわり冗談で夏の終わりを告げよう