じょうろ:2011年10月


机に耳あてて工場の音がするあとすこし目を閉じていていい


玉ねぎがスライムに見えたのはそういえば初めてでした 秋の日 *1


誰の声をきいてあなたは満面の笑みで小雨の橋を渡れり *2


足あとが1、2、3の文字に見え曲がりきれないトラックを待つ


このなかに行き過ぎて戻った人はどれくらい 真夜中はまだ遠い


すこしだけ後悔するために買うものはあたたかい甘いコーヒー


スピード緩めずに向かってくる車 歌になった交差点、ここです


柿を頬張りながら柿の皮をむく速さを競うつもりはなくて


花にじょうろで水をやるネクタイ締めてこんな日を快晴と呼ぶ *3


終着地点と降ろされれば信じるしかない人たちにさよなら

*1:切ってたら目にしみてよけい感動したような気分に

*2:通りすがりのおじさんシリーズ、その1

*3:その2。世の中にはかわいいネクタイがあるものですね