正午:2011年7月
7月もぎりぎりでした。
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地下へ潜らず屋上へも登らずに地続きの歌うたう正午だ
何日か後に台風がくると聞きぬるい塩水を飲んで眠る
この部屋に住むってことはこの部屋で午前中を迎えるってことだ
夏は誰かが呼んだから来るらしい夏が好きそうな声をしてるね
豆電をつけて瞑れば坂道のてっぺんに建つ家の天井
夏の中央分離帯のまんなかで落としましたよ、と銀のひかり
数メートル先をゆく動物と目が合う このまちは静かですね
スピーカーに増幅された声だけのひとと話をするための午後
先に寝ていいのは今日みたいに生暖かい雨が降るときだけ
十年前の話ができるひとといる写真をうまく撮れそうもない